スズメバチの巣が大きくなり働き蜂も増え、多くの働き蜂が餌探しに活発に動き回る時期になってきました。森林は人々にとって心地よい場所なのですが、動物たちにとっても住みやすく子育ての場所なのです。 森林は森のレストランといわれているように、いろいろな種類のごちそうがあり様々な動物が集い集まる場所なのです。スズメバチも住民の一人でレストランのお客さんなのです。餌を探し巣作りをするには絶好の場所なのです。
１．スズメバチとはどんな蜂
スズメバチは1種類ではなく、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、クロスズメバチ等世界では約70種、日本には16種類がいるようです。
ハチの仲間は世界中に10万種以上いるようですが、ほとんどの蜂は人を刺しません。が、スズメバチやアシナガバチ等ほんの一部分のハチが危険なのです。でもむやみやたらと人を刺そうとしているのではありません。
大勢のこどもを養うために働き蜂はせっせと青虫・毛虫を捜し肉団子を作り巣に持ち帰るのです。この時に人間に出くわし邪魔され攻撃されるとその仕返しに刺すのです。働き蜂は雌の蜂ですので産卵管を持っています。 でも産卵作業は女王様が一手に引き受けているのでこの産卵管は襲ってきた敵に向かって使うのです。餌集めの邪魔をしない限り攻撃性のあるスズメバチといえども襲ってはきません。静かにして去るのを待ちましょう。
運悪くスズメバチに刺された時は、ポイズンリムーバーなどで毒を吸出し。抗ヒスタミン剤などで応急手当をし病院に行きましょう。意識を失うアナフィラキーショックがありますので、全身症状が出た場合は急いで病院へ。
２．スズメバチの一生
ところで、スズメバチの働き蜂は秋に死んでしまい女王蜂一人が越冬します。春になり目覚めると一人で巣作りを始めます。できた小さな巣に卵を産み働き蜂となる兵隊さんを育てます。 この時期の女王蜂は非常におとなしく臆病なのです。一か月もすると働き蜂がどんどん増え、巣作り、幼虫の世話、餌集めなどをするようになるので、女王様は子作りに専念するようになります。
でも働き蜂の寿命はわずか一か月程度なので女王様の産卵活動はますます忙しくなります。そして秋になると新女王が誕生し、同時に新女王様と交尾をする雄蜂が誕生します。寒くなり活動が鈍ってくると女王様をはじめ働き蜂は命を落としますが、 交尾を済ませた新女王は来年のために越冬に入ります。女王蜂は精子を貯め込み受精卵は雌蜂すなわち働き蜂に、無精卵は雄蜂にと産み分けているのです。
３．スズメバチが巣をつくる場所 ・土の中、木の洞穴など閉鎖空間：オオスズメバチ、クロスズメバチ、ヒメスズメバチ、モンスズメバチなど。
・林の中など開放空間：コガタスズメバチ（作りはじめの巣は徳利型）など。
・どこにでも作る：キイロスズメバチなど。
４．スズメバチは害虫それとも益虫？ 多くの人々は刺されて怖いハチなので、害虫と思って巣を見つけると駆除してしまいますが、スズメバチの餌は稲や野菜など植物を食い荒らす昆虫なのです。ということは益虫ではないでしょうか。 生態系の中で特定の種が増えすぎないように調整してくれている種の一員でもあるのです。（集団安全保障システム）
５．アシナガバチ アシナガバチも毒針を持つ恐ろしいハチですが、性格はおとなしいです。人が巣に近づいたら巣を守るために巣に集まり警護します。でも巣に被害が出るようになったら攻撃に出るので巣に害を与えない限り襲われることはありません。